「PK」

 マーティン・スコセッシ監督の「沈黙 ―サイレンス―」を「陰」とするなら、この映画は「陽」。宗教とは何か、信仰とは何かを明るく問いかける。宗教学の入門編にいい映画だと思う。

 面白いのは、PKが神の存在を信じているところ。信じているからこそ、あらゆる宗教を通じてどうにか神にアクセスしようとする。なりふり構わず無我夢中に神を追いかけていく姿は、他の誰よりも信心深く映る。皮肉が効いている。

 チャレンジングな映画だと思う。日本のように宗教がそこまで重要でない地域ではこの映画が生まれる土壌がないし、かといって信心深い国であればあるほど作りにくい映画だ。隣国のパキスタンとの関係性を映画の大事な要素の一つとして描いている点も、生半可じゃできないだろう。僕らがこの映画を観るのと同じような気持ちで、インドの人たちは観れたのだろうか。

 「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラニ監督とアミール・カーンが再びタッグを組んだ映画と聞いていたから、長く楽しみにしていてようやく観ることができた。「きっと、うまくいく」ほどの興奮と感動は味わえなかったものの、面白い映画だった。

 あとインド映画の割に踊るシーンは少なかった。もうちょっと踊ってもらっていい。

PK ピーケイ [DVD]

PK ピーケイ [DVD]

 
きっと、うまくいく [DVD]

きっと、うまくいく [DVD]