「パーフェクト・レボリューション」

 以前何かの拍子にこの映画を知って、面白そうだと思ったのに、レンタル店には1枚しか置いてなくて意外だった。

 面白かった。爽快で、満足いく映画だった。
 ラストシーンはたしかに荒唐無稽だし、周りの人たちが突然協力姿勢になったのもよく分からないし、現実を考えればその後すぐに捕まるんだろうけど、それでも、2人の革命を信じるというのは、そういう一切を飛び越えることなのだろう。
 他のサイトのレビューで「障害者の性がテーマ」とか言われていたが、少なくとも障害者の性は要素の一つに過ぎない。クマが障害者の性について講演をしていたことや、ミツが風俗嬢であることなど、性を匂わせるワードはたしかに出てくるが、それらの要素をすべて取り払ったとしてもこの映画は成立する。
 むしろ「障害者の性」とくくってしまうことで、彼らの恋愛を矮小化して観てしまうことになるし、むしろこの作品は恋愛映画というより、無謀な挑戦に懸ける決意をして踏み出すという意味で、青春映画だろう。
 エンディングの曲も若々しくて爽快だった。映画の雰囲気とよく合っていた。

 車いすで踊るシーンは美しかった。最後に踊る場面で流れていた曲が何だったか思い出せない。

 主演女優が「半分、青い。」の裕子だと気づいたのは観始めてから。ああいうパンクな役もなかなか似合っていた。

 

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「アデル、ブルーは熱い色」

 アデルを演じたアデル・エグザルホプロスの、子どもみたいな泣き方が良かった。ああいう、しゃくり上げるような泣き方をする女優は珍しいと思う。
 顔だちも童顔だけど、あの泣き方が一層、幼さや、エマをはじめとする他人への依存性を強く感じさせる。

 「ブルーは熱い色」というタイトルの通り、青色を身に纏っている方が2人の関係を主導していく構図なのは分かりやすかった。
 そのほか、関係性の構築に向かうエネルギーみたいなのは、食べるシーンにも映し出されている気がした。序盤はムシャムシャと頬張るシーンが印象的だったアデルが、終盤に近付くにつれて食べなくなっていくように感じた。

 この監督の癖なのか分からないけど、人物を撮るときのカメラとの距離感がほぼ一定だったように思う。

 

「うなぎ」

 以前から日本人監督によるカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作として気になってはいたが、「万引き家族」が同賞を獲ってからはより観たい気持ちが強くなった。

 他人に心を開かない役所広司を水槽の中のうなぎと重ねて描いている。

 船大工を演じた佐藤允の演技は好きだった。声も昔の俳優っぽい頑強な感じが良かった。

 川原のUFOを呼ぶ装置を点灯させて歌い踊るシーンは、「ヒミズ」に通じるものを感じた。園子温監督が意図して作った舞台だろう。
 清水美沙がフラメンコを踊っていたのは、自らの母に似た部分を受け入れたということなのだろうけど、そこに至った理由はあいまいだった。子を宿し愛する人も見つけたことで母を受け入れたという理解でいいのだろうか。

 あと、手紙は実在したのかどうかを主人公が自らに問いかけるシーンがあったけど、仮に手紙が幻想だったとしても妻の浮気現場自体は直接目撃しているわけだから、そこを問う意味はあまりない気がする。
 むしろ目撃した浮気現場自体を問うのであればまだ理解できる。

 いずれにせよ、昔のカンヌのパルム・ドールってこんな感じなのかと、ちょっと拍子抜けした映画だった。
 比喩も直接的だし社会性もさほど高くない。
 仮に社会的な側面を挙げるとするならば主人公が出所者という点だろうけど、むしろ主人公は人懐っこい周囲によってあっという間に受け入れられた気がする。
 そういう意味では柄本明が嫉妬する気持ちも分からなくはないが、現代であればきっと、柄本明の視点で映画を撮ったんじゃないだろうか。

 

うなぎ 完全版 [DVD]

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「ルート・アイリッシュ」

 ケン・ローチ監督の戦争映画とはどんなものかと以前から興味を持っていたが、戦争映画というより物語の軸はサスペンスだし、舞台も戦場ではない。
 あのジャケットからは想像できない構成だったけれど、面白い映画だった。
 真相に近づくにつれて言葉を失っていった。

 登場する企業はイラクで何を事業としているのだろう。

 あと、「マッド・マックス」というのは実在の人物なのかという驚きもあった。今まで全く興味が湧かなかったが、「マッド・マックス 怒りのデスロード」もいつか観てみようかと思った。
 …が、「マッド・マックス 怒りのデスロード」はSFアクションで、この映画に出てくる「マッド・マックス」を描いた作品ではなさそうなので、あっという間に興味が失せた。

 

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「サラの鍵」

 以前からずっと気になっていた作品だった。
 弟のミシェルがどうなったのか、予告編だけでも引き付けるストーリーだが、生きているかもしれない「その後のサラ」を追うことで、最後まで飽きさせないシナリオになっている。

 実の息子でさえサラの過去についてほとんど何も知らずに生きているという設定に、歴史というのは、書き綴られ語り継がれないと失われていくものだなと改めて思わされた。

 

サラの鍵 [DVD]

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「私の男」

 海のシーンにせよ濡れ場にせよ、二階堂ふみがここまで体を張った演技をしているとは想定外だった。
 それと合わせて、あどけない高校生から大人の女性まで見事に演じ分けている点も素晴らしい。
 地味な田舎の高校生が、都会の高級レストランであそこまで美しい女性に変貌するものかと、ただただ感心するばかりだった。

 二階堂の真骨頂があの濡れ場だろう。あからさまに不機嫌になったと思えば、自分に溺れる男と妖艶な視線を交わす。鮮血に塗れながら男の腰に乗る。
 大量の血液が天井から降ってくる中で抱き合う二人を引いて撮ったあの場面は、ものすごく印象深かった。あれを観るためだけにもう一度借りる価値さえあると思う。

 一方の浅野忠信も、二階堂ふみに溺れ、どんどんみすぼらしくみっともない男になっていく様子に説得力があった。二階堂ふみの成長と同じくらい老けを感じさせた。

 流氷のシーンも迫力があったし、まだ幼い花を引き取って真夜中の林の中を突き進む車も印象深かった。
 「映像化不可能」と言われる理由もよく分かった。
 でもあの映像の数々が、桜庭一樹の原作ではどこまで表現されているのかが気になる。あれらが監督の演出だとするならばすごい力量だと思う。

 

私の男

私の男

 

「ヒミズ」

 染谷将太二階堂ふみの演技が良かった。特に染谷将太が迫真の狂気を見せていた。こんなにいい俳優だったのかと驚かされた。

 園子温監督作品で鑑賞したのは3作目だと思うけど、たぶん人間を狂わせて救いのない結末に落とし込むのが基本路線なのだろう。
 その基本路線に照らせば、この作品は救いのある最後だった。主人公がまだ中学生だからか。
 その点では、これまで見た2作よりも好きかもしれない。でも印象の強さで言えば「冷たい熱帯魚」には及ばないと思った。

 

 

ヒミズ

ヒミズ

 

 

同じフレーズを繰り返すというのは、園子温監督が登場人物を追い詰めたり狂わせたりするときによく使う手法なのだな。