「ヴィットリオ広場のオーケストラ」
ノンフィクションかと思って借りたらドキュメンタリーだった。
イタリア・ローマで暮らす移民の音楽家たちを集めて楽団を組み、閉鎖の危機にあったアポロ座で公演するまで、2001年から2002年までを追った作品。
楽団員集めに映画のほとんどの時間を割いている。実際に楽団員確保こそが最も多くの、というかほとんどの時間を費やしたからそうした構成にならざるをえないのだろうけど、映画としてはやや間延びする印象は否めない。それよりも、公演の様子やエンディングで流れた曲の演奏を見たかった。
ドキュメンタリーという手法により、ノンフィクションよりも描かれ方は淡々としている。ただ、だからこそリアルなドラマ性を感じさせるという面白さはあった。映像の粗さや音響の残念なところはまあ仕方ないんだろう。
移民法って2001年の秋には改定済みだったんだろうか。この楽団の活躍が、移民に対するローマ市民の感情にどんな変化をもたらしたのか、あるいはその力まではなかったのか、気になるところではある。